
先日、以前から首肩の治療をしている患者さんから、首の痛みはほとんどなくなったけど、ゴルフのスウィングでクラブを振り上げた時に左肩が痛い、と相談されました。(写真のような状態です)
確認のためにその姿勢を作って頂くと、「この時にこの左肩が突っ張って痛いんです。」と、同じように痛みが出ました。
で、痛みが出るから、スクールで教わるような良いフォームにならない事が、最近のゴルフでの悩みなんだそうです。
この患者さん、元々頭をどの方向に倒しても首と肩に痛みがあったくらい体がガチガチに緊張していて、体の力を抜くことが上手く出来なくなっていました。
何をするにも色んな所に余計な力が入ってしまう「りきむ」と言う状態です。
*写真を撮る時に、「肩の力を抜いてくださいね。」と言われても、「もう抜いてます。」と思ったり、抜き方が分からない、と言うような人も同じ「りきみが抜けない人」です。
もう一度動きを見せて頂くと、ゴルフのスウィングの時に、やはり肩周りにいっぱい力が入った状態で力づくでクラブを振り上げようとしています。
無駄に力が入ってしまっているせいで、緩むべき筋肉が緩まないので体がスムーズに動くことが出来ず、無理矢理引っ張られて痛みが出てしまっています。
鍼やお灸で筋肉を緩めても楽になるとは思ったのですが、「力の抜き方」と「スムーズな体の使い方」を知らない事が今回の痛みの原因なので、またゴルフの練習に行っても痛くならないように、ゴルフが上手になるように、肩甲骨の動かし方を教えて、ちょっとした体操で肩甲骨を軽い力で動かす練習をしてもらうことにしました。
まず1つ目の体操をしてもらってから、もう一度痛い姿勢を作ってもらうと、
「おっ!!違う!違うね!!」
と、まだ突っ張る感じはあるけど強い痛みは無くなって、良い感じに変わってきました。
でも、まだ突っ張りが残っているので、もう1つ別の体操、今度は腕を上に上げやすくするための動きをやってもらってからまた確認すると、
「あぁ、平気だわ…突っ張んないね。」
と、今度は突っ張りも無事に無くなってくれて、スムーズにゴルフのスウィングが出来るようになりました。
今回やってもらった体操は2つだけです。合わせても3分くらいで出来る簡単な体操なんですが、「体の正しい動きを知ること」がポイントです。
意外と本来の体の動きを知らないで、力づくで動いている人が多いんです。
スムーズな肩の動かし方なんて体育の時間でも習わない事なので、みんな自己流で体を動かしているのですが、疲れや姿勢の崩れからだんだん上手に体を動かせなくなって、力づくで体を動かすようになってしまいます。
そうすると、体中力が入って、うまく緩まない筋肉が動きの邪魔をしてしまって痛みやコリの原因となってしまうことがあります。
今回の患者さんの症状はその典型的なパターンでした。
どの方向に頭を倒しても首が痛くなるくらいガチガチに固まっていた患者さんですから、なかなか上手に肩や肩甲骨を動かすことが出来なかったんです。
「ただ形だけ、良いフォームになるように動かそうとしてもダメなんだね…」
「こんな事で、こんなに変わるんだ…これは知らないわ…」
「こうやってゴルフのスクールも教えてくれたら良いのにねぇ…」
と言う事で、左肩の痛みの治療は体操だけで無事に終了です。
それから鍼とお灸を使って全身の緊張を緩めるように治療をして、この日の治療は終わりました。
「緩み方」を忘れてしまっている人ってすごく多いんです。
しかも、力が入りっ放しになっている事に慣れてしまって、気付いていない人も多いんです。
なので、思い出すきっかけとして、体を緩める治療はとっても大切です。
緩みを知らないと、どう緩んで回復したら良いのか分からないので、寝てもなかなか回復出来なくなります。
緩みを知った体は、良い状態でいたいと思うので、ちゃんと自分で緩もうとしてくれます。
自分でちゃんと元気になれるんです。
そして、ある程度緩んできたら、「上手に動く」と言うことを知ることがとっても大事になります。
コレを知らないと、何をするにも力んで動いているので、生活しているだけで体はまた固くなっていってしまいます。
上手に動けるようになれば、日常の疲れ、緊張が減ってくれます。
そのための練習の体操はとってもかんたんなのですが、長年力を入れて動くことが習慣になってしまっているので、コツコツ続けることが大切です。
力が抜けて、スムーズに、滑らかに動く体…
なんか毎日が楽しくなりそうじゃないですか?